「採用動画を作りたいけど、何から始めればいいかわからない」──そう感じている採用担当者・人事担当者は少なくありません。この記事では、採用動画制作の全工程を順番に解説します。
この記事でわかること
- 採用動画制作に必要な事前準備(目的・ターゲット・ストーリーボード)
- 初心者でも揃えられる機材・ソフトの選び方
- 撮影・編集・公開の具体的な手順
- 採用動画でよくある失敗パターンと対策
- 社内制作と外部制作会社への依頼、どちらが向いているか
採用動画はなぜ必要か?テキスト採用との違い
求職者が企業を選ぶ際、求人票やホームページのテキスト情報だけでは伝えきれない要素があります。社員の表情・職場の空気感・チームの雰囲気──こうした「人と場の実態」を短時間で伝えられるのが採用動画の強みです。
採用動画を活用する主なメリットは以下の4点です。
- 視覚・聴覚に訴えるため情報が記憶に残りやすい:テキストより動画のほうが情報を印象づけやすいとされています。
- リアルな情報提供で信頼感が生まれる:実際の職場環境や社員の声を見せることで、求職者の「この会社で本当に働けるか」という疑問に答えられます。
- 入社後のミスマッチを減らせる:仕事内容・職場環境・社風を具体的に伝えることで、入社前後のギャップを小さくできます。
- 採用ブランディングに寄与する:企業のビジョンや価値観を映像で伝えることで、競合他社との差別化につながります。
STEP 1:事前準備──目的・ターゲット・ストーリーボードを決める
動画の目的を明確にする
目的があいまいなまま制作を始めると、メッセージが散漫になります。まず以下の問いに答えてみてください。
- この動画で何を伝えたいか?
- 視聴した求職者にどんな行動を取ってほしいか?(応募・説明会参加・SNSシェアなど)
- どのような印象を持ってもらいたいか?
目的の具体例としては「企業のビジョン・ミッションを伝える」「実際の業務内容・職場の雰囲気を紹介する」「特定のポジションやチームを強調する」などが挙げられます。目的が一つに絞れるほど、動画のメッセージは鋭くなります。
ターゲットを設定する
誰に向けた動画かによって、内容・トーン・尺が大きく変わります。以下の点を整理しましょう。
- 年齢層・キャリアステージ(新卒/第二新卒/中途)
- 求めるスキル・職種・経験年数
- 求職者が重視する価値観(成長環境・安定・社会貢献など)
新卒採用向けと中途採用向けでは、見せるべき情報の優先順位が異なります。新卒向けは「どんな環境で成長できるか」、中途向けは「具体的な業務内容・待遇・チームの実態」を重視する傾向があります。
ストーリーボードを作成する
撮影前にストーリーボード(各シーンの構成メモ)を作成すると、当日の進行がスムーズになります。凝ったイラストは不要で、手書きのメモ程度で十分です。
- シーンのリストアップ:動画に含めたいシーンをすべて書き出す
- 各シーンの詳細を記載:何を映すか・誰が話すか・どんな音声を入れるかをメモ
- 順序の確認:視聴者にとって自然な流れになっているか確認する
STEP 2:機材とソフトを揃える──初心者が最低限用意すべきもの

カメラ
- スマートフォン:近年の高性能モデルは4K撮影にも対応しており、コスト抑制と手軽さを両立できます。まず試してみるには最適な選択肢です。
- ミラーレスカメラ:軽量で扱いやすく、背景をぼかした映像表現も可能。スマートフォンより一段上の映像クオリティを目指す場合に適しています。
- デジタル一眼レフカメラ(DSLR):さらに高い映像品質を求める場合の選択肢。操作の習熟が必要です。
音声機材
採用動画においてよくある失敗のひとつが「音声の粗さ」です。映像が多少粗くても視聴は続けられますが、音声が聞き取りにくいと離脱率が上がります。
- ラベリアマイク(ピンマイク):インタビュー撮影に最適。話者の胸元に取り付け、クリアな音声を収録できます。
- ショットガンマイク:カメラに装着して使用。指向性が高く、周囲の雑音を拾いにくいです。
照明の基本
照明は映像の印象を大きく左右します。基本の「三点照明」を理解しておきましょう。
- キーライト:被写体を照らすメインの光源
- フィルライト:キーライトの反対側に置き、影を柔らかくする補助光
- バックライト:被写体の背後から当て、輪郭を際立たせる
屋内のオフィス撮影では、窓からの自然光をキーライト代わりに使うだけでも映像の質が向上します。
動画編集ソフト
- iMovie(Macユーザー向け・無料):直感的な操作で基本的な編集が完結します。初めての方に最もハードルが低い選択肢です。
- DaVinci Resolve(無料版あり):無料ながらカラーグレーディング機能が充実しており、映像の質を引き上げられます。
- Adobe Premiere Pro(有料・サブスクリプション):業界標準のプロ向けソフト。豊富なオンラインチュートリアルがあり、習得しやすい環境が整っています。
STEP 3:撮影する──場所選び・インタビュー・カメラワークのポイント

撮影場所の選び方
- オフィス・作業場:実際の職場の雰囲気をそのまま伝えられます。整理整頓された状態で撮影しましょう。
- 会議室・共用スペース:チームのコミュニケーションや協力関係を見せるのに適しています。
- 屋外ロケーション:企業の立地や周辺環境を伝えたい場合に有効です。天候・背景・騒音に注意してください。
インタビュー撮影のコツ
- 質問内容を事前共有する:出演者が安心して話せるよう、あらかじめ質問内容を渡しておきます。ただし回答を丸暗記させると不自然になるため、「話す内容の方向性」を伝える程度にとどめましょう。
- 撮影前に場を和ませる:本番前に雑談を挟むだけで、カメラに対する緊張が大幅に和らぎます。
- 相槌で自然な表情を引き出す:インタビュアーが適度に相槌を打つことで、話者の表情が柔らかくなります。
撮影テクニックの基本3点
- 三分割法でフレーミングする:被写体を画面中央ではなく、縦横それぞれ3等分した交点付近に配置するとバランスよく見えます。
- 三脚・スタビライザーで手ブレを防ぐ:インタビューや固定ショットでは、カメラの安定性が映像の信頼感に直結します。
- ズーム・パンは控えめに:カメラの動きが多すぎると視聴者が疲れます。動かす場合はゆっくりと、意図を持って動かしましょう。
STEP 4:編集する──基本手順・BGM・テキストの入れ方

基本的な編集の流れ
- 素材のインポート:撮影した映像・音声ファイルを編集ソフトに取り込む
- クリップの整理・選定:使えるシーンと不要なシーンを分類する
- タイムラインへの配置:ストーリーボードに沿ってクリップを並べる
- カット・トリミング:不要な間や言い間違いをカットし、テンポを整える
- トランジション追加:シーン転換を自然につなぐ(多用しすぎないこと)
BGM・効果音の選び方と注意点
- BGMは動画のトーンに合わせて選ぶ:落ち着いた社風の会社なら穏やかな曲、若い組織でエネルギッシュな印象を出したいなら前向きなアップテンポの曲が合います。
- 著作権に必ず注意する:YouTubeやSNSで公開する場合、著作権フリーの音楽ライブラリ(例:YouTube Audio Library、Epidemic Sound等)を使用してください。
- 音量バランスを整える:BGMを大きくしすぎてインタビューの音声が聞き取りにくくなるのは典型的な失敗です。インタビュー音声を主役として、BGMは控えめに設定しましょう。
テキスト・グラフィックの活用
- テロップ挿入:インタビューの要点や重要な情報をテキストで補強します。フォント・色・サイズは動画内で統一してください。
- 企業ロゴの配置:冒頭・末尾にロゴを入れることでブランド認知を高められます。
- アニメーションは最小限に:動きのあるエフェクトは「使えるから使う」ではなく「必要な場面だけ使う」という原則を守りましょう。装飾過多は逆効果です。
STEP 5:公開する──プラットフォーム選びと公開後の改善
公開前の最終チェックリスト
- 伝えたいメッセージが動画全体を通して一貫しているか
- インタビュー音声が明瞭に聞き取れるか
- 映像にブレや極端な明暗差がないか
- テキストに誤字脱字がないか
- 全体の尺と流れが視聴者にとって自然か
公開プラットフォームの選び方
- YouTube:多くの求職者がアクセスするプラットフォームです。タイトル・説明文・タグを適切に設定して検索に引っかかりやすくしましょう。
- 自社採用ページへの埋め込み:応募意欲が高い状態で動画を見てもらえるため、最もコンバージョンへの影響が大きい配置です。
- SNS(LinkedIn・Instagram・X 等):各プラットフォームの推奨尺・縦横比に合わせた短縮版を用意すると効果的です。
公開後のフォローアップ
- 視聴データを確認する:再生回数・平均視聴時間・離脱ポイントを分析することで、次回の改善点が見えてきます。
- 社内外のフィードバックを収集する:応募者から「動画を見て応募した」「動画のどの部分が決め手になったか」を把握できると、制作の方向性を精度高く改善できます。
- 定期的に内容を見直す:組織体制の変化・採用職種の変更・オフィス移転などに伴い、動画の内容が古くなっていないか定期的に確認しましょう。
採用動画でよくある失敗パターンと対策

失敗パターン①:メッセージが多すぎて何も伝わらない
「会社の全てを伝えたい」という気持ちから、盛り込みすぎてしまうケースです。一本の動画で伝えることは「一つ」に絞るのが鉄則です。会社の全体像を伝えたい場合は、複数の短尺動画に分けることを検討してください。
失敗パターン②:ターゲットが不明確で誰にも響かない
新卒にも中途にも使えるよう作ったつもりが、どちらにも刺さらない内容になるケースです。制作前に「誰に向けて何を伝えるか」を決め、ターゲット外の情報は思い切って省きましょう。
失敗パターン③:音声品質が低く視聴継続率が落ちる
映像は多少の粗さがあっても視聴されますが、音声が聞き取りにくいと離脱につながります。音声機材への投資は、カメラへの投資と同等かそれ以上に重要です。
失敗パターン④:「良いことしか言わない」動画への不信感
求職者はPR動画だと理解した上で視聴しています。「仕事のやりがい」だけを一方的に語る動画よりも、「大変なことも含めてリアルな職場を見せる」動画のほうが信頼性と共感を得やすい傾向があります。
社内制作と外部制作会社への依頼、どちらを選ぶべきか
採用動画の制作は「社内で自作する」か「制作会社に依頼する」かの二択です。それぞれの特徴を整理します。
| 項目 | 社内自作 | 制作会社への依頼 |
|---|---|---|
| コスト | 機材費用のみ(数万円〜) | 制作費用が発生する |
| クオリティ | 担当者のスキルに依存 | 一定以上のクオリティを期待できる |
| スピード | スケジュールを自社でコントロールできる | 制作会社のスケジュールに依存 |
| リアリティ | 社内ならではのリアルな雰囲気が出やすい | 企画・演出のプロが介在する |
| 向いているケース | まず試してみたい・予算が限られている | 採用ブランディングとして重要な動画を作りたい |
「まず一本作ってみて採用への影響を確かめたい」という場合は社内自作から始め、効果が出てきたら制作会社への依頼を検討するという段階的なアプローチも有効です。
まとめ:採用動画制作の5つのステップ
- 目的・ターゲット・ストーリーボードを決める(事前準備)
- 機材とソフトを揃える(カメラ・マイク・照明・編集ソフト)
- 撮影する(場所選び・インタビュー・カメラワーク)
- 編集する(カット・BGM・テキスト)
- 公開して改善を繰り返す(プラットフォーム選定・データ分析)
採用動画は一度作って終わりではなく、公開後のデータを見ながら改善を重ねることで採用力が高まっていきます。まずは一本、小さく始めてみることが大切です。
採用動画の企画・制作について相談したい場合は、NOFILTERのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。