近年、企業が新卒採用活動を行う際に重要な役割を果たすようになってきたのが「採用動画」です。しかし、その効果的な活用方法について、企業と就活生との間にズレがあることも指摘されています。そこで今回は、ノーテッド株式会社が実施した「採用動画の効果的な活用方法に関する実態調査」をもとに、就活生が求める採用動画の条件や企業が取り組むべきポイントを分析していきます。

【アンケート概要】
調査機関: ノーテッド株式会社
調査名称: 採用動画の効果的な活用方法に関する実態調査
調査方法: セルフ型アンケートツール「サーベロイド」によるインターネット調査
調査期間: 2023年4月21日〜4月28日
有効回答: 286名

本調査から見えてくる情報をまとめると、就活生にアピールする採用動画は、最適な長さが5分以内であり、5分以上の動画は8割以上の就活生が視聴を躊躇します。求められるコンテンツは、現場のリアルな情報を「実写」で伝えることが重要で、特に働く様子を映したものが最も効果的です。また、就活開始前が最も視聴率が高く、説明会参加前には3分以内の動画が好まれる傾向があるため、これらのポイントに配慮した動画制作が求められます。

採用動画の視聴率を上げるための具体的なポイント

Q1.あなたが採用動画を躊躇せず視聴できる動画の長さは何分ですか?

5分以上の採用動画を81.8%の就活生が視聴を躊躇するという結果

アンケート結果によると、就活生が採用動画を躊躇せず視聴できる理想の動画の長さは「1分未満」が24.8%、「1分〜3分未満」が33.9%、「3分〜5分未満」が23.1%という結果が出ています。また6割近い就活生が3分以上の動画に躊躇するという結果になっています。Z世代の多くは動画コンテンツが溢れる状況の中で、動画を視聴しています。無駄に時間を消費することに抵抗感が高い世代となっているので、これから採用動画を制作する企業は、できる限り動画の長さを短めにすることが視聴率向上の鍵となりそうです。

Q2.採用動画で志望度がアップするコンテンツはどれですか?(複数選択可)

就活生が求めるのは、実際に働く現場のリアルな情報

就活生が採用動画で志望度がアップするコンテンツとして、「現場での仕事の様子」が44.4%、「オフィスの様子」が36.7%、「福利厚生や制度の紹介」が37.8%、「社員インタビュー」が35.3%となっています。実際にどのように働くのか、どんな場所で働くのか、どんな人がいるのかといった、働く現場のリアルな情報を提供することで、就活生の興味を高めていくことが採用動画には必要になります。

Q3.採用動画の視聴を途中で止めた理由は何ですか?(複数選択可)

動画の時間で約半数の就活生が視聴を途中で止めるという結果に

採用動画の視聴を途中で止めた理由として、「動画の長さが長すぎた」が46.2%と最も多く、その他にも「コンテンツが古く感じた」(25.5%)、「コンセプトやテーマが分かりにくかった」(23.8%)、「画像や音声のクオリティが悪かった」(24.1%)などの理由が挙げられています。これらの結果から、採用動画制作時には分かりやすさやクオリティにも注意が必要であることがわかります。

Q4.採用動画にテロップ(字幕)が必要だと思いますか?

視聴環境や聴覚障害者への配慮は必須!
言葉のニュアンスやアクセントの補足情報としても重要

アンケート結果では、34.3%の就活生が「音声があるが、環境的に音声を聞けない場合があるので、必要」と回答しており、30.1%が「言葉のニュアンスやアクセントを理解しにくい場合があるので、必要」と回答しています。また、23.1%が「聴覚障害者にもアクセスしやすくするため、必要」と考えています。これらの結果から、採用動画にはテロップを入れることが視聴率向上につながると言えます。

Q5.採用動画で最適な動画タイプは何ですか?(複数選択可)

アニメーションよりも社員出演の実写動画が人気傾向に

就活生が最適だと感じる動画タイプは、「実写動画(インタビューや働く姿など)」が43.7%、「学生向けの就活ガイダンス動画(TV番組風動画)」が33.9%、「インフォグラフィックス動画(文字やイラストなどを活用した動画)」が22.7%となっています。これらの動画タイプを取り入れることで、就活生に訴求力のある採用動画を制作することができます。

メディアでの採用動画の視聴状況

Q6.採用動画を視聴したメディアは?(複数選択可)

採用動画の視聴を促す場合に YouTubeへの登録は必須

就活生が採用動画を視聴したメディアは、「YouTube」が50.0%、「企業の公式ウェブサイト」が32.9%、「Instagram」が21.0%、「Twitter」が18.5%となっています。リサーチ中の企業についてYouTubeで検索したり、リサーチの過程で他社の採用動画が表示されるなど、現在の採用活動でYouTubeは外すことのできない重要なメディアになっています。企業は、これらのメディアを活用して採用動画を広めることが視聴率向上につながります。

採用動画視聴のタイミングと動画の時間の関係性

Q7.就活中のどのタイミングで採用動画を視聴しましたか?(複数選択可)

30.8%が就活開始前に採用動画を視聴!企業を知るきっかけに!?

就活生が採用動画を視聴するタイミングは多様で、主なものは就活開始前(30.8%)、インターン中(25.5%)、企業リサーチ中(29.4%)、会社説明会(28.3%)です。各タイミングで動画が果たす役割は、企業理解を深めることや、情報の補完、説明会や面接の準備をサポートすることです。就活開始前の視聴が最も高いことを考慮すると、採用動画は就活生にとって企業を知るきっかけとなる重要なツールとなっていることが分かります。

Q8.就活のステップごとに視聴したい(できる)動画の最適な長さを教えてください

説明会を起点に少し長い動画も視聴率がアップする傾向

1分未満1分〜3分未満3分〜5分未満5分〜10分未満10分以上
就活前31.5%32.2%21.0%12.6%2.8%
リサーチ中26.2%36.4%20.6%12.9%3.8%
説明会25.9%26.6%25.9%15.0%6.6%
選考中24.8%29.4%24.5%15.7%5.6%

就職活動のタイミングを前半(就活前・リサーチ中)後半(説明会・選考中)に分けた場合の動画の長さに関する傾向は以下のようになります。

前半(就活前・リサーチ中)

前半では、短い動画が好まれる傾向が強いです。1分未満と1分〜3分未満の動画が、就活前やリサーチ中の学生の関心を引くことが多いです。これは、学生がまだ企業についての情報が少なく、簡潔で分かりやすいコンテンツを求めているためと考えられます。また、リサーチ中には、やや長めの動画(3分〜5分未満)にも関心が高まり、企業の具体的な情報が求められるようになります。

後半(説明会・選考中)

後半では、動画の長さに対する選好が広がり、1分〜3分未満、3分〜5分未満、さらに5分〜10分未満の動画も視聴されるようになります。これは、学生が企業についての理解が深まり、より詳細な情報や具体的な働く現場の様子を知りたいと考えるようになるためです。選考中には、面接や試験に向けてさらに詳しい情報が求められるため、長めの動画も一定の割合で視聴されます。

これらの結果から、就職活動の前半では短い動画が好まれ、後半に進むにつれて長めの動画も視聴される傾向があることがわかります。企業は、学生のニーズに応じて、適切な長さの動画コンテンツを提供することで、学生に効果的にアピールすることができます。

就活生が採用動画を見つける方法とは?

Q9.どのような方法で採用動画を見つけましたか?(複数選択可)

最後に、就活生が採用動画を見つけた方法として、「企業説明会」が38.8%、「SNS(Twitter、Facebook、Instagramなど)」が25.2%、「YouTube」が22.0%、「求人サイト(リクナビ、マイナビなど)」が22.4%となっています。これらの結果から、企業は採用動画の露出を高めるために、企業説明会やSNS、求人サイトなどでの配信を検討することが効果的であることがわかります。

まとめ

  1. 動画の長さ: 短い動画が好まれる傾向にあり、3分以内が理想的です。長い動画は視聴を躊躇する人が多いため注意が必要です。
  2. コンテンツ: 実際の仕事の様子やオフィスの雰囲気、福利厚生・制度紹介、社員インタビューなど、リアルな情報を提供することが重要です。
  3. 動画の品質: 分かりやすさや画像・音声のクオリティに注意が必要です。視聴を途中で止める理由として挙げられることが多いためです。
  4. テロップ(字幕): 視聴環境や聴覚障害者への配慮、言葉のニュアンスやアクセントの理解を助けるためにも、テロップが必要とされることが多いです。
  5. 動画タイプ: 実写動画や学生向けの就活ガイダンス動画、インフォグラフィックス動画など、訴求力のある動画タイプを活用することが求められます。
  6. 配信メディア: YouTubeや企業公式ウェブサイト、SNS(Instagram、Twitter等)を活用して、採用動画を広めることが視聴率向上につながります。
  7. タイミング: 就職活動の前半では短い動画が好まれ、後半に進むにつれて長めの動画も視聴される傾向があります。適切な長さの動画を提供することが重要です。
  8. 露出: 企業説明会やSNS、求人サイトなどでの採用動画の配信を検討することが効果的です。

採用動画の視聴率をアップさせるポイントは以上です。動画コンテンツに対するニーズは年々増しており、採用活動において必要不可欠なツールとなっています。採用動画をどのように制作するか、そしてどのように活用すべきかをしっかりと求職者のニーズを汲み取り制作していくことで、求める人材との最適なマッチングが成立します。ぜひ、今回の調査結果を参考にしていただければと思います。

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