企業の採用戦略と聞いて、何を思い浮かべますか?知名度の高い企業ほど求職者から注目されると思いますか?それとも、実際に企業の魅力を理解し、認識していることがより重要だと考えますか?現代の就活生が求めることを理解することで、中小企業の採用活動の方向性を大きく変えるきっかけになる可能性があります。
今回、我々は「就職活動における企業知名度と採用動画の影響に関する実態調査」を実施し、この問題に迫りました。この調査を通じて、企業の知名度がどのように就職活動に影響を与え、企業の魅力がどのように伝わってくるのか、そして求職者がどのように企業の魅力を認識するのか、といった事柄を明らかにしていきます。
【アンケート概要】 調査機関: ノーテッド株式会社 調査名称: 就職活動における企業知名度と採用動画の影響に関する実態調査 調査方法: セルフ型アンケートツール「サーベロイド」によるインターネット調査 調査期間: 2023年7月3日〜7月10日 有効回答: 247名
調査結果は、求職者が企業の知名度に依存しないという意見を持つ一方で、採用CMを通じた企業の魅力発信が求職者の企業選択に重要な影響を与えることを示しています。また、採用CMが持つ真の力と、それがどのようにして求職者の選択に影響を与えるのか、といった新たな洞察が得られました。
この結果は、企業側にとって重要な示唆を含んでいます。求職者の行動や意識を理解することで、企業はより効果的な採用戦略を策定し、自社の魅力を最大限に引き出すことができるのです。
以下で紹介する調査結果を通じて、企業の認知度と採用CMが持つ力について一緒に考えてみましょう。これから効果的な採用戦略を考えている企業の方々にとって、ここから新たな洞察を得ることができるでしょう。認知度への取り組みが、求職者と企業の新たなつながりを生み出す可能性が、ここにあります。
Q1.就職活動において企業の知名度は重要ですか?
64.7%の就活生が「知名度」が就職先選びに直結しないという結果に
調査結果では、求職者の34.2%が企業の知名度を「かなり重要」または「非常に重要」と感じていることが明らかになりました。しかし、それと同時に、33.9%の求職者が知名度を「全く重要ではない」または「それほど重要ではない」と考えています。残りの30.8%は「どちらとも言えない」と回答しており、これらの結果からは、知名度が就職活動における一要素であることは認められるものの、必ずしも求職者の最終的な就職先選びに直結するわけではないということが読み取れます。
Q2.就職先の企業をどのようにして知りましたか?(複数選択可)
採用活動はネットもリアルも幅広く対応することが求められる時代へ
求職者が就職先の候補企業を知る方法には多様性が見られました。オンライン媒体(就職情報サイト・アプリ38.9%、SNS24.3%、YouTubeの採用CM15.8%)は求職者に大きな影響力を持っていますが、リアルな環境(企業説明会・合同就職説明会33.6%、学校のキャリアセンター27.9%、友人・知人からの紹介15.8%)も依然として重要です。これらの結果は、企業が採用情報を求職者に届けるためには、ネットもリアルも含むマルチチャネルでのPRが必要であることを示しており、採用活動には今後多くの人的リソース、採用コストの増加が求められることを示唆しています。
Q3.普段、動画を視聴するメディアは?(複数選択可)
64.4%の圧倒的な視聴率を誇るYouTube!広告活用が採用活動の鍵に!?
このアンケートの結果から、現在の求職者が主にどのメディアで動画コンテンツを視聴しているかが明らかになりました。全体の64.4%という高い比率を示しているのがYouTubeです。TV(37.7%)やネットTV(Netflix、Amazon Prime Videoなど、32.0%)、そしてInstagram(39.3%)など他のメディアと比べても、YouTubeの視聴率は顕著に高いことが見て取れます。
これは、求職者、特に若い世代が情報を得るための主要なプラットフォームとしてYouTubeを利用していることを示しています。企業としては、求職者にアピールするためにこの媒体を効果的に活用することが重要であると言えます。YouTubeは幅広い視聴者に対して企業のメッセージを伝え、ブランド認知度を向上させる有効な手段となり得ます。この結果は、採用戦略においてYouTubeの活用が必要不可欠であることを明示的に示しています。
Q4.就活中にYouTubeで企業名を検索したことがありますか?
YouTube検索に対して、コンテンツ提供が求められる採用市場
アンケート結果から、求職者の38.5%が就活中にYouTubeで企業名を検索した経験があるとのことです。一見すると、これは少数派の行動のように思えるかもしれません。しかし、この数字は非常に重要な意味を持っています。
まず一点目として、38.5%の求職者がYouTubeで企業名を検索しているということは、彼らが企業についての情報を求め、理解しようとしている証拠です。ここで企業が動画コンテンツを持っていない場合、それはアピールの大きな機会損失となります。また、YouTubeでの検索結果に自社の動画が表示されない場合、代わりに競合他社の動画が表示される可能性があります。その結果、就活生が他社へ流れてしまう危険性が生まれるのです。
つまり、この数字はYouTube上での企業のビジビリティが、現代の求職者にとってどれほど重要であるかを示しているのです。それは、企業が自社のブランド価値を高め、求職者とのつながりを確立するための重要な手段となるのです。
Q5.採用CMを観たことで未知の企業を選択肢に加えますか?
4割の就活生が知らなかった企業を認知することで、就職先候補になりうると回答
この調査結果から、未知の企業の採用CMに触れることが新たな就職先候補を生む可能性があることが示唆されています。40.9%の就活生が未知の企業の採用CMを視聴することで、その企業を新たな選択肢として検討することが分かりました。
59.1%の就活生が直接的には新たな選択肢とは考えないと答えていますが、これは必ずしも採用CMの無意味さを示すものではありません。ある企業が未知であったとしても、採用CMを通じてその企業の存在を知ることで、長期的な視野でその企業を選択肢に含める可能性があります。
つまり、知名度だけでなく認知度も重要で、新たな視聴者を惹きつける可能性を持つ採用CMは、中小企業にとって強力な採用戦略ツールとなり得るのです。
Q6.YouTubeに流れる採用CMを観て、興味度はアップしますか?
YouTube広告は、企業の認知度アップに貢献する
この調査結果は、YouTubeなどのメディア広告が企業の認知度向上に一役買うことを示しています。全体の42.5%の就活生が、YouTubeなどのメディアで採用CMを視聴した後に、その企業への興味度が上がったと回答しています。
57.5%が即座に興味度が上がらないと答えたものの、広告を通じて初めてその企業の存在を知ることができ、その後自ら企業のウェブサイトを訪れて情報を収集するなど、間接的な関心度の上昇を生む可能性もあります。
この結果は、YouTubeなどの動画広告が、企業の認知度を高め、候補者の関心を引きつける有効な手段であることを示しています。広告は情報を伝えるだけでなく、興味を引き、さらなる行動へのきっかけを提供する重要な役割を果たします。
Q7.採用CMに出演する社員が魅力的だと企業への興味が高まりますか?
企業への興味を高めるためには、魅力的な人だけでなく、多角的な情報提供が必要
この調査結果は、企業の採用CMにおける出演者の魅力が、求職者の企業への興味を高める一方で、それだけでは必ずしも興味が引き立つとは限らないことを示しています。CMに出ている企業の人々が魅力的に見えると、45.7%の人がその企業への興味が高まると回答しましたが、それでも54.3%はそう感じないと回答しています。
これは、求職者が企業選択において、出演者の魅力だけでなく、企業のビジョン、働く環境、文化など、多様な要素を総合的に考慮していることを示しています。企業が求職者の関心を引くためには、一面的なアピールだけではなく、組織全体の多面的な魅力を伝えることが重要であると言えます。
Q8.採用CMで特に魅力的に感じるポイントは何ですか?
採用CMに求められるのは、企業のざっくりした概要
求職者が就職活動初期の段階で必要とする情報として、多くの企業の概要を短時間で把握するため、企業のビジョンやミッションなど、企業全体を象徴する情報が求められる傾向があります。アンケート結果からは、「企業のビジョン・ミッション(37.7%)」や「企業の環境(36.0%)」といった企業全体を表す情報が、採用CMで特に魅力的に感じるポイントであることが明らかになりました。
具体的な人物に注目する点として、「働いている社員の出演(32.4%)」や「企業の代表の出演(20.2%)」も求職者の興味を引きます。しかし、これらは企業全体の情報と一緒に提示されたときにより効果的であると考えられます。これらの結果は、採用CMが求職者にとって、企業全体のビジョンや目指している姿を短時間で理解する重要なツールとなっていることを示しています。
Q9.あなたがもっとも興味を持つ企業CMのタイプは何ですか?
シンプルな企業の情報を伝える採用CMが求められている!?
このアンケート結果は、求職者がもっとも興味を持つ企業CMのタイプについての傾向を示しています。「純粋に情報を伝えるCM」が30.0%と最も多く、企業の具体的な情報を直接受け取りたいという需要が高いことが分かります。次いで「面白い・ユーモラスなCM」が21.9%となり、エンターテイメント性の高いCMに対する関心も確認できます。一方で、13.4%の「感動的なストーリーのCM」、13.0%の「アニメーションを使用したCM」、そして10.1%の「芸能人が出演するCM」と、多様なCMスタイルへの需要も存在します。
Q10.合同説明会などでブースに立ち寄るきっかけは何ですか?(複数選択可)
企業名が認知されていることは大きなアドバンテージに!?
このアンケートは、求職者が合同説明会等のイベントブースに立ち寄るきっかけを探るものです。「知っている社名だった」が最も多い34.4%となり、既存の企業認知度が強い影響力を持つことが示されています。次に、「人が多く集まっていた」が29.1%となり、他の求職者の関心がブースへの訪問を促す要因となることが見て取れます。「パンフレットが魅力的だった」は27.9%、「社員に声をかけられた」は24.7%、「サイネージ(動画)を見た」は19.4%となっており、それぞれのアプローチも相当な影響を持つことがわかります。これらの結果は、企業が様々な方法で求職者の注目を引くことの重要性を強調しています。
まとめ
このアンケート結果を通じて見えてくるのは、就職活動者に対する企業の存在感を高めることが求められているという現状です。
まず、企業の知名度について(Q1)は、回答が約35%が重要であると感じている一方で、34%があまり重要ではないと答えており、その中間を取る者も31%という結果となりました。これは就職活動者一人ひとりが異なる価値観を持つことを反映しており、全ての人にとって企業の知名度が絶対的な重要性を持つ訳ではないという事実を示しています。
しかし、就職先の候補となる企業をどのように知ったか(Q2)という質問で最も多かった回答は就職情報サイト・アプリ、その次が学校のキャリアセンターや企業説明会・合同就職説明会という結果となりました。これは、情報の収集手段が多様化している現代において、企業として自社の存在を知ってもらうためには、これらの手段を複合的に用いる必要があると示唆しています。
その他の質問においても、未知の企業の採用CMによりその企業を新たな選択肢として検討する(Q5)、CMが企業への興味度を上げる(Q6)、CMに出ている人々の魅力により興味が高まる(Q7)という回答がそれぞれ40%以上あり、求職者に企業の存在を知らせることの重要性を裏付けています。
最後に、合同説明会などで立ち寄るきっかけ(Q10)では、「知っている社名だった」が最も多かったことから、求職者が行動を起こす上で企業の存在感が大きく影響を与えることが理解できます。
以上の結果から、企業の知名度がそれほど重要ではないと答える就職活動者もいる一方で、企業の存在を知らせること自体は重要であると言えます。特に中小企業の場合、知名度は必ずしも高くないかもしれませんが、就職情報サイトやアプリ、学校のキャリアセンター、企業説明会などを通じて企業の存在感を出すことで、より多くの就職活動者の注目を集め、採用市場での競争力を強化することが可能となります。それぞれの求職者に対するアプローチは、知名度だけに頼るのではなく、企業の存在を知らせ、魅力を伝える多角的なアプローチが求められているのです。