「うちの会社らしさをどう表現すればいいのか?」 採用広報における最大の悩みは、“魅力の言語化”です。 しかし、理念や制度だけでは伝わらない“温度”や“価値観”を可視化するのが、EVP(Employee Value Proposition)×動画の力。 この記事では、EVPを動画で“感じさせる”ための企画・構成・表現手法を解説します。
- EVP(従業員価値提案)の定義と役割
- 採用動画でEVPを“言葉以上に伝える”構成法
- 社員インタビューをブランド資産に変える方法
1. EVPとは何か?──採用ブランディングの出発点
EVP(Employee Value Proposition)は、「社員がこの会社で働く理由」を明確化するための考え方です。 給与・制度といった“条件”ではなく、「ここで働く意味」を定義することで、採用の方向性が定まります。
EVPを構成する5つの要素:
- ① 仕事の意義(Purpose)
- ② 成長機会(Growth)
- ③ 人間関係・文化(People & Culture)
- ④ 報酬・待遇(Reward)
- ⑤ 社会的インパクト(Impact)
この5つのどこに「自社らしさ」があるかを明確にし、動画のストーリー軸に据えることがブランディングの第一歩です。
2. EVPを“動画”で伝える3ステップ
採用広報では、スライド資料や説明会トークだけでは「感情」が伝わりにくい。 そこで動画を使って、EVPを「見える・感じる」形に変えます。
- STEP1: EVPを“ストーリー化”する(言葉を絵にする)
- STEP2: “体現者”である社員のリアルを映す
- STEP3: 映像構成で「ブランドトーン」を統一
これにより、単なる紹介映像ではなく“世界観の伝達”へと昇華します。
3. STEP1:EVPをストーリー化する──企業の「Why」を物語に
まずは、「なぜこの仕事をしているのか」というEVPのコアを物語化します。 以下の3つのストーリーパターンが、採用動画の構成に適しています。
- Mission型: 社会課題解決・理念に共感して集まる社員を描く
- Journey型: 社員の成長過程を通じて価値観を浮かび上がらせる
- Contrast型: Before/Afterで企業文化や働き方の変化を見せる
ナレーションで語るよりも、「行動・表情・対話」で見せることが、ブランドの信頼を生みます。
4. STEP2:社員インタビューを“ブランドの声”に変える
社員の言葉は、最も信頼性の高いブランディング素材です。 ただし、質問の仕方次第で「社内紹介」か「ブランド表現」かが決まります。
| 質問の目的 | NG質問例 | Good質問例 |
|---|---|---|
| 仕事理解 | 「仕事内容を教えてください」 | 「どんな瞬間に“この仕事でよかった”と思いますか?」 |
| 文化理解 | 「職場の雰囲気を教えてください」 | 「“らしさ”を感じる瞬間は、どんな時ですか?」 |
| 価値観理解 | 「会社の強みは?」 | 「この会社の“根っこ”は何だと思いますか?」 |
社員の語りを通じて、“ブランドが自然ににじみ出る”瞬間を切り取ることが、EVPの映像化です。
5. STEP3:映像トーンと編集で「ブランドらしさ」を可視化する
ブランドの印象は、言葉よりも「映像のトーン」で決まります。 トーン設計には以下の3要素が重要です。
- 色: 温かさ・透明感・誠実さなど、ブランドの感情を色で定義
- リズム: カットテンポ・BGM・間の取り方で“社風”を表現
- 構図: 近距離の目線・手元・動作などで「人の距離感」を演出
EVP動画では「美しさ」よりも「誠実さ」「共感」が伝わるトーン設計が効果的です。
6. EVPを動画に落とし込む構成テンプレート(3分想定)
- 0:00〜0:20: 世界観(理念・ビジョンのワンフレーズ)
- 0:20〜1:20: 社員の声(なぜこの仕事を選んだか)
- 1:20〜2:30: 現場の映像・仕事の瞬間
- 2:30〜3:00: まとめと「らしさ」を象徴する一言
この構成で「言語(理念)」と「感情(現場)」の両輪を表現できます。
7. 成果を最大化する配信・導線設計
- 採用サイトTOP・説明会動画・SNSで一貫したトーンを保つ
- 社員紹介ページに“EVPの象徴カット”を挿入
- 採用CMや短尺動画に再編集して再利用(シリーズ化)
EVP動画は単発ではなく、「採用ブランドの中核素材」として中長期的に活用するのがポイントです。
EVP動画企画テンプレート&構成台本を無料提供中
ブランド軸を定めるEVP整理シート、台本構成テンプレート、映像トーン設計チェックリストをまとめた資料をご用意しています。
関連記事:会社説明会を“体験”に変える設計 / 採用広報のAI活用ロードマップ